2017年において、モンゴルの農産業は平年より少ない降水量が主な原因で収穫量が大きく減少した。しかし、中・長期的には復活する傾向にあるセクターであり、GDPに占める割合や生産量、世帯当たりの収入に占める割合が増加している。

GDPに占める割合>

モンゴルは、近年鉱山業で知られるようになったが、従来遊牧民である。したがって、家畜産業を含む農産業は依然と重要な役割をもっている産業であり、GDPの構成比では、2016年時点でその他サービスを除くと鉱山業に続いて約16%を占めている第2位の主要産業である。2000年代までは、国内生産の3分の1までを占めていたが、鉱山業が盛んになるにつれてその比重も減少してきた。しかし、近年では構成比が2011年比約5.21ポイント増加するなど、復活する傾向にある。

過去5年間の統計では、降水量が激減した2017年を除いて農産業の実質成長率は経済全体の成長率を大きく上回ってきた。特に、資源価格が下落し、鉱山業が不況に陥った2013年から2桁の成長を維持できたのが注目するところである。2017年において、世帯あたり一ヶ月の平均収入が前年同期比12.9%増に当たる95万トゥグルクになった。この増加は、給与が4万7,000トゥグルク、農産業からの収入が2万8,400トゥグルク増えたことによってもたらされた。

<家畜原料の平均価格>

家畜数が人口の約20倍に当たる6,600万頭を超えているが、その商品化がモンゴルの農産業が抱えている大きな課題である。バリュー・チェーンの完成に比較的に成功している山羊カシミアを除いて家畜由来の原料は加工業や輸出業が育っていない現状を反映した低価格で売買されている。たとえば、2017年12月時点で長さ2メーター以上の牛皮の平均価格がゴビ・アルタイ県で一番安い2万9,000トゥグルク、オロホン、ドルノゴビ、中央県で最も高く4万トゥグルクとなっている。馬皮の平均価格がゴビ・スンベル県でもっとも安く1万9,500トゥグルク、バヤン・ウルギー、ホブド県でもっとも高く2万5,000トゥグルク、その他は平均2万~2万3,000トゥグルクである。山羊カシミア1キロがドルノド県で最も安く4万トゥグルク、ホブスグル県で最も高く7万トゥグルクだった。

<農業>

2017年において、全国的に前年同期比3.8%増の52万4,300ヘクタール面積で栽培した。その39万900ヘクタールは穀物、15万1,000ヘクタールはジャガイモ、8,400ヘクタールは野菜、26万2,000ヘクタールは餌用植物の栽培だった。降水量の激減などが原因で穀物は前年同期比50.7%減の23万8,100トン、ジャガイモ26.3%減の12万1,800トン、野菜13.1%減の8万2,100トン収穫された。1ヘクタール当たりの収穫量は作物6,100キロ、ジャガイモ8万400キロ収穫したのが前年同期比それぞれ52.4%、26.9%減少した水準である。