こんにちは、もんにちは。

新学期であることも影響するのか、モンゴルは9月からいろいろな面で活性化して来ます。
車の渋滞から、投資家向けのカンファレンスの急増、国会の秋のセッションの始まりに因んだ政策等の活性化などなど。

例年のこの習慣の幕開けの一つとなるのが、毎年9月に開催されるCoal Mongoliaフォーラム。今年は8回目のCoal Мongolia 2018として、9月4日と5日に開催されました。

モンゴルの主力輸出品であり、輸出全体の40%を占める石炭。その市場価格、輸出量、発掘量の未来はモンゴル経済において最も重要な話題でもあります。

世界の流れとして、脱化石化燃料の動きが顕著に見られています。
ケンブリッジ大学の2018年6月時点の研究では、新技術の開発等により、化石燃料関連の投資価値が今後17年で1-3兆米ドル前後暴落するものと見られており、また、このような動きの中で、ロシア、カナダ、アメリカ等の化石燃料輸出国が最も痛手を負うことになると予想しています。モンゴルももちろん、この中に入ります。これは、2008年のリーマンショックを凌ぐ危機となりうるものです。このような研究等が進む中、既に2018年9月時点で世界的に異常気象が相次ぐなか、気候変動リスクの回避へ投資マネーが動き出しています。化石燃料などに関連する企業の株式や債券を売却すると決めた投資家は世界で900超、資産規模は約700兆円にのぼり、融資を停止する動きも広がっています。

2018年Coal Mongoliaでの市場予測として、2019年にはコークス用石炭の市場価格は120ドルと、現状の230ドルの半額程度に下落すると予想されており、またモンゴルの主要輸出先である中国の輸入規模は2017年のそれを上回らないと予想されています。

2018年の上半期において、モンゴルの石炭の輸出量は前年同期比で1.2%減となっており、輸出量としては若干減少となりましたが、輸出額としては石炭の価格上昇があったため、前年同期比14.9%の増加となっています。2019年に輸出量が一定でも、価格が半減すれば、既にモンゴルの輸出額の4割を占めるこの数値も半減するリスクもあります。また、競合他国であるロシア等からの石炭の輸出は急増しており、対中国輸出は既にモンゴルに凌ぐ額に達しています。

こう言ったネガティブな環境も多いが、すべてがネガティブなニュースではありません。

まず、モンゴル最大の石炭輸出国である中国の石炭需要がある地域が、海岸地域から内モンゴル等の内陸地域に移ってきており、モンゴルにとって、地理的に有利に動いて来ました。中国がモンゴルからの石炭の輸入量を減らす動きも見られていません。また、2018年8月24日に、中国外務大臣 王毅氏の訪蒙時に、中国とモンゴルの自由貿易協定の合同実行可能性調査を正式に始動すると発表しています。当該自由貿易協定が締結された場合、モンゴルは比較的優位性を保有することも可能性の一つと考えられます。

また、モンゴル最大の炭鉱であるタヴァントルゴイの貯蔵量は、以前の推測の70億トンから14%増の80億トンであることが最近となってわかりました。こう言った中、Erdenes Таvan Tolgoi社の民営化(IPO)も進んでいます。民営化による経営の透明化、効率化、採掘量・輸出量の増加等が逆風の中でもモンゴルにとってプラスとなることでしょう。Erdenes Tavan TolgoiのIPOは9月26日に予定されています。世界投資家が化石燃料関連株式への投資を回避する中、必ずしも良いタイミングとは言いがたいが、やらなければいけない課題でもあります。

さらに、石炭等の鉱産物を精錬してから輸出する動きが活発となっています。国内総生産の中で、鉱山物の発掘のみが占める割合は2016年時点の24.7%から2017年には22%と減少する一方で、精錬等の業界の割合は増加傾向にあります。2017年時点で、精錬等の業界の国内総生産は前年比で20.1%も増加しています。Coal Mongolia 2018フォーラムの初日にも、約200億トグログ(約10億円)の機械類を輸入する契約がされました。モンゴル国内での付加価値の増加、費用の定価等に繋がる投資といえます。

鉱工業バブルと言える2011年から7年。モンゴルは経済の空洞化を避けるべく、多様化に向けて、ゆっくりだが、確実に進みつつあります。

もんじゃ、次回まで。