CROWD CREDIT
松浦麗華様

プロフィル:
クラウドクレジット株式会社 商品部 副部長
東京大学経済学部卒、同大学院経済学研究科にて開発経済を研究。修士課程修了後、2014年みずほ銀行に入社し、本店営業部での一年間のOJT期間を経て、2015年より同行ホーチミン支店にて日系法人営業を担当。2017年に帰国し、同行国際法人営業部にて外資系金融法人営業に従事後、2018年よりクラウドクレジットに入社。

まずは、就職先になぜ金融業界、クラウド・クレジット社を選んだのか、聞かせてください。

大学で経済学を勉強したというのもあって、銀行は、コンサルティングも決済も金融も大学で勉強した知識を生かせるいろんな業務に携わることができるので最初は大手銀行に就職しました。その後、銀行で外国の企業に金融サービスを提供するのが主な仕事だった。そのような海外資金提供をより幅広く行える会社に転職しようと思ったときに今の会社に出会いました。

内の会社はクラウド・ファインディングを集めて海外の企業に出します。世界のいろんな国と仕事ができるので自分がやりたかったことに近かったですね。

クラウド・ファンディングと新興市場というと、たくさんの人にその市場の可能性がわかってもらった上で投資してもらうものだと理解しています。モンゴルをはじめとする新興市場は日本のようなマイナス金利の市場と比べると可能性も、リスクもあります。保守的な日本市場から資本調達する上でこのような問題はどのように解決していますか。

私たちファンド運営者がそのリスクをしっかり研究・分析をして、それに対するリスクとリターンのバランスをちゃんと理解してもらった上で投資してもらうようにしています。その意味では、今回のモンゴル出張はフォーラムの参加に加えて経済やこれからの可能性について勉強するという目標も含めています。

開発途上国への資金提供という業務実績からモンゴル人にとって分かりやすい事例などあったら紹介してください。

わかりやすい例の一つとして、メキシコ女性支援ファンドというのがあります。メキシコで女性実業家にしか貸さないファンドですが、伝統工芸や小さなショップとか開いている女性にお金を貸し付けて利益や家庭の収入を増してもらうという趣旨のファンドです。

それは、メキシコのファンドがクラウド・クレジットさんと連携しているファンドですか、それとも直接資金を出して作っているファンドですか。

直接資金を出して作ったものです。

この事例のようにその国ごとの用途に合わせてファンド名も新たにつくり資金を出しているということなのですね。

そうです、ケースバイケースですが。例えばモンゴルでいろいろな会社と仕事するようになればモンゴルでも別のファンドをつくって運用するという形になります。

日本から、松浦さんからみたモンゴルはどんなイメージをもっていますか。文化や自然、お相撲さんよりも新興市場の側面から何が見えるのでしょうか。

弱みから言うと中国への依存が目立ちますね。それはいいところもあるけど、一緒に落ちたりするリスクが高そうです。鉱物への依存も同じく、いいところもあるけど、自分たちの努力とは関係ないところで落ちてしまうリスクがあるというのが課題だなという気がします。

フィンテックの浸透や仮想通貨の登場。銀行業務もそうですが、金融サービス、業界全体が大きな転換期を迎えていると思いますが、これについて自分のビジョンから聞かせてください。

まずは、地域金融機関が淘汰されていって、金融機関の倒産が日常風景になるかもしれません。預金の経済合理性が大幅に低下して「貯蓄から運用へ」が一気に進むでしょうか。途上国では「銀行」の金融サービスにアクセスできるのは現時点ではどの国もだいたい人口の2割程度という数字があります。経済が発展するにつれて市中に貸し出しを行うリスクは下がっていくので、上記の比率は徐々には高まりますが、日本のように人口のほとんどをカバーするようになるには100年以上もかかっているのです。米国のように、永遠にカバーできない状態になるのかもしれない。こういった銀行がカバーしきれない部分は、貸付型クラウドファンディング(と貧困層については寄付やリターンにコミットしない応援投資)がカバーし、ここの市場規模が今後50年間は急拡大するのではないかとみています。