モンゴル政府(格付Caa1/B-/B-)は、本日、2018年に満期を迎える国債を買入償還するとして、買戻請求を発表しました。買戻請求された国債は、2018年1月に満期を迎える金利4.125%の5億米ドル建国債及び、2018年6月に満期を迎える金利7.5%の10億中国元建国債(約1.5億米ドル)となっております。なお、買入償還の財源としては、新たに国債を発行します。2018年1月満期国債の価格は、2017年3月より120bps下がり、買入償還に適した価格まで下落したことが当該決定の主な理由となっております。この国債買入償還がされると、モンゴル政府は2021年までに大きな国債返済が残らず、財源を圧迫する要因が著しく減る見込みです。

このコラムを読んで頂いている方々は、既に金融に非常に詳しい方々だと思いますので、あまり詳細な説明は必要ではないと思いますが、念のために、金融用語の解説も行っておきましょう。

社債の満期償還とは、満期を迎える時に借金を返済する行動に反して、買入償還は、市場に出回っている証券を買戻し、無効にするという行動です。証券の価格が安い時に先に買取、無効にさせることで、満期償還と比較して安い価格で借金返済が出来るというメリットと、返済時の財政負担を半減させるという効果があります。今回の場合は、満期が非常に近いため、前者の効果を狙ったものとみられます。

こんにちは、もんにちは。コラムニストのゾリゴです。

モンゴル政府は2011年の17%を越える高度成長を機に、2012年に15億米ドルの外貨建て国債を始めて発行しました。これは、当時のモンゴルのGDPの20%に相当する額となっており、主な用途として輸出を支えるインフラ整備等(新鉄道プロジェクトはその一つ)がクレジット・ストーリーに謳われていました。しかし、なんども書いている通り、初めて手にした大金を正しく使わず、無駄遣いをしてしまったのがモンゴルの経済危機の発端となりました。加えまして、資源価格の暴落や、海外投資家に対する敵対的とまで見られる政策、不安定な政治環境等も相まって、モンゴル経済は大ピンチに。海外投資家直接投資は著しく減り、外貨準備金も底を着きました。結果として、モンゴル通貨のトグログは暴落、2016年に30%もの価値を失ってしまいました。もちろん、モンゴル通貨が弱くなると、税金も減り、どのように外貨建ての借金を返済するか、頭を悩ましたのでございます。

そんな中、2017年2月にIMFによる16回目の支援を受けることに合意しました。投資家心理も落ち着きを戻した上に、主な輸出資源である石炭の価格上昇(2倍以上に膨れ上がりました)、中国による北朝鮮への経済制裁等により、輸出量も増え、モンゴルの経済状況は少しは落ち着きを戻しつつあります。そんな中、国債新規発行及び、旧国債の買入償還を決めたのでございます。

いつも、計画なしにいろいろやらかしてしまうモンゴルの政府の政策としては、良い判断だと思います。しかし、借金を借金で返すのは、メリットも、デメリットもありますよね。今後、具体的な政策として、経済成長をどのように維持するか、海外投資家をどのように呼び込むか、税収入をどのように上げるか、注目して行きたいですね。

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