こんにちは、もんにちは。

ぞりごです。

昨今を騒がしている中小企業支援ファンド問題や政治家の責任を問う動き、内閣や国会の解散を訴える動きに加えて、また世間を騒がしかねないものとして、銀行業界の収益が、今年度5月期までは例年通りの黒字の役1000億トグログから反転、2018年10月期において2,013億トグログに転じたニュースです。

注:単位は億トグログ。2010年は10月末時点
出所:モンゴル銀行

何分、もっとも利益率が高そうに見える銀行業が赤字となったということは、素人の目には「銀行がやばい!」とか、「モンゴルの経済が調子いいと言ってたの嘘じゃないか?」とかに見えかねないからです。

国際通貨基金(以後IMF)拡大信用供与(EFF)が実施された2017年5月から1年半。2018年10月末には第5回レビューの結果が出ました。概ね、目標数値はすべてクリア、GDP成長率は2018年第3四半期において6.7%と急回復、財政収支や外貨準備金等も目標を達しています。

そのEFFの枠内で行われた一つの大きな見直しは銀行セクターのアセット・クオリティ・レビュー(AQR)でした。用は、銀行セクターは、貸出金等のリスクをちゃんと計算できているのか、今後のセクター全体のリスクを回避するために何をするべきかと言ったレビューです。まずは、銀行のリスク管理は、合格最低ラインに達しているかをレビューするものは今年の夏くらいには出ており、詳細は不明だが、ほぼ全部の銀行がこれには達したようでした。そして、その後は、貸出金の区分に関する議論(いわゆる不良債権にカウントされるべきなものの線引きはどこか)、担保価値に関する議論、不良債権や延滞債権等に対して貸倒引当金(保険みたいなもので、貸倒リスクを先に見積もり、損益として計算するもの)をどれくらいつむべきかと言う議論、貸倒引当繰入金の損失が出て資本金(預金へのバッファーみたいなもの)どれくらい目減りするか、どれくらい追加で準備しておくのが安全かなどの議論が長きに渉りされて来ました。結果として、各行が追加で調達する必要な資本金の金額をモンゴル銀行やIMFに提出、審査してもらい、主要5行は既に資本金の追加調達の準備が済んでおり、その他に関しても、資本金調達額及び手法に関して現在最終段階に入っているもようです。

そう言った議論が続き、年末も近づいたところで、貸出金の区分分けや不良債権の保守的な見積もり、担保価値の再計算、不良債権への引当金に繰入等も要約財務諸表に現れたのが2018年10月になったものかと思われるのが、以下の数字です。残りの2ヶ月でまたの調整等もある可能性もありますが。

注:単位億トグログ。棒グラフは純利益、2018年の月間ベースは累計ベース。線グラフは不良債権額

出所:モンゴル銀行

一見すると、2018年9月から2018年10月に不良債権が45%増の約2兆トグログに増加、不良債権比率も前月の8.4%から一気に11.9%に跳ね上がったかのように見えますが、洗剤リスクの焙り出し、より保守的な見積もりなっているからであります。ちなみに、貸倒引当金の不良債権カバー率は、2017年末の88%と殆ど変わらない86%となっており、見積もりが厳しくなった分、今回積んだ損失(費用)は、今後戻ってくる可能性も高いものと考えられます。また、将来のビジネス・プランに則った資本拡充も行われることになっているため、銀行業界のリスク要因払拭につながるレビューになっているものと考えられます。

ただし、資本水準を満たせない小規模の銀行等があることも否めなく、その場合は、過度競争となっているモンゴルの銀行セクターでの業界再編も行われるチャンスとなりうるのではないでしょうか?

そんなこんなで、2018年は何かといろいろと変革の年となっています。この変革、特に政治方面の変革がモンゴルの今後にポジティブに動くことを祈っています。

ちなみに、モンゴル銀行は2019年の予算や経済活発化、米金利等の外部要因にちなんで、引き締め政策となる金融政策をとり、政策金利を1ポイント上げ、11%に設定しました。(ちなみにで語る課題か?)

もんじゃ、次回まで。