こんにちは、もんにちは。お目汚しゾリゴです。

先日、SBエネルギー社とNewcom社による再生可能エネルギープロジェクト「ツェツィー風力発電所」がアジア・スーパー・グリッドの一環として稼動しましたと書きましたが、他にもメガプロジェクトが一杯話題に出ています。知る人は知るが、知らない人は知らないことが多いので、実現可能性はおいておいて、夢のあるプロジェクトの構想をちょっと紹介したいと思います。

先日も話した通り、プロジェクト、特にメガプロジェクトで実を結ぶものは僅かとなっています。特に政治的に安定していず、資金力に乏しく、また地政学的な複雑さを有するモンゴルでは、プロジェクトが止まってしまうことも多々あります。

一つ挙げると、エギーンゴル水力発電所もその一例。十数年前から話しに上がって来ていましたこのプロジェクト。このプロジェクトが成功すれば、モンゴル国の石炭の消費を年間43.9万トン減らす効果を有しており、結果、70万トンの温室効果ガス削減に繋がるだけでなく、モンゴル国の淡水資源貯蔵量を57億立方メートル増加させ、モンゴル国の水源政策においても非常に重要な位置づけとなっております。しかし、このプロジェクトに、ロシア国、ブリヤット地域の住民等が「バイカル湖の水源を著しく減らす懸念があるため」という理由で反対しており、なかなか進められていないのも現実であります。つい先日というか、半月前に「このプロジェクトに関わる契約がすべて凍結、またはキャンセルされたようです!」という報道がロシアのTASS報道局によって報じられました。その後に、「モンゴル国大統領がロシア側に加担した!モンゴル国の利益を重んじていない!」などの批判の声もありましたが、エギーンゴル水力発電所株式会社から「ロシアの報道局は誤った報道をしました。キャンセルされたのは別のプロジェクトに関するフィージビリティ・スタディに関する契約であり、当プロジェクトは依然継続されます」と否定。しかし、真相は分かりません。反対の声があるのが事実である以上、実施されるまで時間がかかるかも知れません。

もう一つの例。前々から愚痴っている鉄道プロジェクトであります。モンゴルの石炭を安い価格で運ぶ非常に採算性の高いプロジェクトにも関わらず、2008年から実に10年近く凍結されているのです。メガプロジェクトは国が行うべきなのか、それとも民間企業が行うべきかということに関して、色々な意見がありますが、私はどちらかというと「民間企業が行った方がスムーズに進む」という方に見方を持っています。先日の風力発電所もその一つの例としてみています。しかし、民間企業がプロジェクトを行うと場合、もっとも利益正の高いところばかりを短観的にみてしまう傾向もあり、国策として鳥瞰図的にみることに関してはおろそかになってしまう欠点があるのも否めません。あ、「我」が強い私、つい私見を延々と述べてしまいますね。話しを戻しますね。このプロジェクト。採算性の低い部分の建設を後に回したとしても、なぜ採算性の高い南線プロジェクト(タヴァントルゴイ炭鉱を南に内モンゴルに繋ぐ線)も動かないのかというのは、利権の異なる人たちの仕業とも言えないことがないと思うのです。炭鉱側の民間会社も、モンゴル国自体も鉄道を立てた方が最も良いのに対して、このプロジェクトによって利益を失ってしまう人々もいます。鉄道と競合するトラック運送会社がその一例です。実は、モンゴル国会にそう言ったトラック運送会社を有する国会議員が多数いることが、このプロジェクトをできるだけ先延ばしにしたい動機となっているのではないか?という噂もあります。

実際に、2014年において、このプロジェクトのファイナンシングに必要な6億~8億米ドルの融資をEBRDや韓国輸出輸入銀行、韓国貿易保険公社などから長期低利で確保出来たのです。当時、私目は、「これで、この線でも出来てしまえば、それを担保に他の線も建設できる!私として、よくやりました!モンゴル国のためになることに大きく貢献できました!万々歳!」と浮かれていましたが。。。融資に最も必要な政府保証が国会の支持も、各省の支持も得れず、没とされてしまいました。その時のショックと言えば。。。

とまあ、メガプロジェクトは難しいですと愚痴るのはこの辺にして、もうちょっと夢のある話をしたいと思います。

今回は、露・蒙・中の間に経済回廊を作る話しに関わるメガプロジェクトについて触れたいと思います。未だ未だ早期段階ですし、実現するまでどれくらいかかるかなどは知りませんが、まあ、夢は大きく! Boys Be Ambitious!!!

2016年6月にタシケント市での露・蒙・中の間に経済回廊を作る合意書が締結されました。現段階では、総額500-600億ドルの超メガプロジェクトとなると考えられています。もちろん、露・蒙・中だけでなく、日本にも関係があるプロジェクトが多数あります。簡単に紹介しましょう。

鉄道。

まずは、ロシアとモンゴルと中国を結ぶ「ウランバータル鉄道のアップグレードプロジェクト」。現在は年間運送総量は約2千万トン強となっているが、これを2020年までに約3千トンに増やし、また線路を現在の単線から複線に増やすプロジェクトです。2020年までにロシアと中国の間の物質運送総量は年間2000億ドルに達する見込みとなっており、両国を結ぶ鉄道の運送総量を増やす必要があるのです。鉄道では、年間運送量が年間3千万トン以上になると複線にアップグレードする必要があり、また年間1億トン以上となると電化が必要とされています。プロジェクトの命を握るのは、どのようにして運送総量を増やすかとなっていますね。ロシア側からの天然ガス等の資源の運送、中国側からの食料品等の運送が肝となるでしょう。

第二に、ロシアのトゥヴァ共和国と中国ウイグル新疆自治区を結ぶ、全1800キロに達するモンゴル西部回廊プロジェクト。トゥヴァ共和国には良質の石炭が発掘される炭鉱があり、それを最終市場である中国に運ぶのが目的であり、プロジェクト総額は約120億米ドルとなっています。このプロジェクトが実を結び、モンゴル国における「ノーサン・レイルヴエイ」の鉄道プロジェクトと繋がると、上記「ウランバータル鉄道」の運送総量も増えると見られます。

第三の鉄道回廊は、モンゴル東回廊プロジェクト。回廊として、ロシアと中国の間に何を運ぶかは未だ未定な部分はあるが、一方で、前々回でも書いた通り、モンゴル国内の東西線が出来れば、まずは、モンゴル国タヴァントルゴイ炭鉱から石炭をロシアの極東のウラジオストックの港に運び、日本等の市場に行くことが出来るのです。また、同じ石炭を南に、中国の製鉄のメッカである河北省や黒龍江省に運ぶと言ったことも可能になります。

エネルギー部門

先月稼動した風力発電もその一環となっている「アジア・スーパー・グリッド」メガプロジェクト。実は、これにはロシアや中国、韓国、日本も加わっています。ロシアの東シベリア地域はエネルギー余剰地域でもあります。4つの大規模水力発電所、10個を越える火力発電所等から中国、韓国、日本を含むアジアのエネルギー消費大国にエネルギー供給が可能であり、送電線等においても、日本の技術等も活用可能と見られます。

自動車道路

ロシアと中国を結ぶ高速道路の建設のプロジェクトも数年前から話題になっています。投資総額は100億米ドル相当となるが、実際にこの高速道路をどの程度活用できるかは依然不明

水源提供

上記のエギーンゴル水力発電所の発想とはまったく逆の動きのプロジェクトも話題に上がっています。バイカル湖から淡水・飲料水を中国まで運ぶパイプラインを作るというプロジェクトです。もし、実現できれば、モンゴルも恩恵を受けますね。

天然ガス等

同様に中国にロシアから天然ガスを送るパイプラインを作る話しです。ロシアのイルクーツク市から約400キロメートル離れたコヴィクト天然ガス田(総貯蔵量約2兆立方メートル)から北京までのパイプラインを作るプロジェクトである。モンゴルもこの天然ガスから恩恵受けると考えられます。

 

などなど。

いやあ、夢が膨らみますね♪  実際に実を結ぶプロジェクトはどの程度でしょうか?

と、まあ、ちょっと愚痴をはさみつつ、簡単に紹介したのでございます。

もんじゃ、次回まで、よろしゅうに♪