こんにちは、モンニチは

ぞりごです。

先月、日本に遊びに行った時、草津温泉と伊香保温泉に遊びに行って来ました。いやー、紅葉時期の温泉はいいものですね 。極楽でした。

日本って良いなあ♩と思いながら観光してたんですが、その観光中に立ち寄ったのは、八ツ場ダムでした。

なんと1967年に建設に着手され、2000億円以上の建設費を投じたにも関わらず、政治的な理由で中止され、建設続行するか否かが問われているあのダム。

八つ場ダム

日本の大規模なインフラ•プロジェクトは全て順調に進んでいるものと錯覚していたのだが、必ずしもそうではないと言う事実は目から鱗が出る衝撃でした。

大規模だから、利害関係が異なるステーキホルダーが数多く存在する。だからこそ、政治的な立場に左右されることになり、プロジェクトの是非も問われてしまう。どこにでも良く問題なんだなあと痛感しました。

話しが遠回りになりましたが、先日、南ゴビで建設中だったが、建設予算が足りず、中止となってしまった鉄道プロジェクトに関する最高裁の判決が出ました。

プロジェクトの予算横領、汚職の疑惑で2015年より取調べられていた事件で、2013年から2年間このプロジェクトの部長を務めていた私も、国境を超えられず、毎週警察の取り調べ受けていたのです。10年以上の実刑判決となると言い聞かされ、私も気が気ではなかったのです。

2017年の5月に裁判が行われ、横領や汚職の事件性はないと言う判決が下されるも、検察側が裁判員の判決に不服と上訴し、2017年7月に再裁判が行われ、再び事件性がないと言う判決が下され、今度は最高裁に持ち込まれたのです。その最高裁の最終判決が先日下されました。事件性がないと再度確認されたのです。

しかし、昨今の中小企業支援基金問題や、役職転売事件(通称600億事件)などの数多くの汚職・不正事件が解決されない中、国民の不信感は高まるばかり、三度の裁判の判決に対しても何か裏があるだろうと見ているようです。

プロジェクトの詳細を知る者として、そして自分も疑いを掛けられた者として、裁判が公正な判決を下したことに喜びを覚える一方、政治的な妨げが無かったら完成していた鉄道プロジェクトに対する悔しさも残っています。

2018年の11月に中国への石炭輸出量が著しく下落しており、2019年以降も中国側が石炭輸入量に制限かける見込みのある中、モンゴル側は石炭にかかる交通費用を低下させる必要性が以前より強まって来ています。そんな中で、南ゴビの石炭運送用鉄道は必要不可欠なのです。にも関わらず、2008年以降10年もかけて建設されていないのは非常に悔しい現実なのです。

この鉄道の歴史を簡単に説明すると以下の通りです。

2008年にタヴァントルゴイ炭鉱の「ウハー・フダガ」部分を所有するエネルジー・リソース社の子会社であるエネルジー・リソース・レール社(以後ERR)が輸出専用の鉄道建設を計画し始めていました。プロジェクトの実行可能性調査等も既に済んでいたのですが、2010年に鉄道政策が発行されました。2010年の鉄道政策は、炭鉱から生の石炭を中国に輸出するだけの鉄道ではなく、モンゴル国内で洗炭等を行い、また製鉄等も行うなどで付加価値を上げて輸出する国内網作った方がモンゴルにとって重要といった趣旨でした。また、鉄道は国にとって戦略的な資産であるため、国がこの運用を行うべきと言ったことも主な趣旨でした。この後、ERR社が既に始めていたプロジェクトをどのように引き継ぐかなどの商談が続き、2013年の5月にやっと引継ぎ作業が終わり、プロジェクトが再びレールに乗ったように見えたのです。チンギスハーン国債の資金用途の主なストーリー(所謂クレジット・ストーリー)も新鉄道プロジェクトとなり、政府は建設費用のうち4億米ドルを出すことも約束し、建設が開始しました。

ところがどっこい。建設作業のうち、盛土などの土木作業の80%が達成したところで(国が2億米ドルを出したところ)で、急に国が約束の費用が打ち切られてしまいました。チンギスハーン国債の資金を他のプロジェクトに割いてしまったため、資金が足りなくなったと言うのです。こんな中でも、金融機関等と交渉し、長期かつ安価のプロジェクト・ファイナンスで8億米ドルの調達が可能になり、なんとか建設は続けられそうになるも、プロジェクトを支持していたアルタンフヤグ内閣が不信任、プロジェクト・ファイナンスに必要不可欠だった政府保証も支持されず、資金が止まってしまったのです。国にとって非常に有益なプロジェクトなのは誰が見ても明確なのにも関わらず、政治的な妨げで政府が約束した資本も、調達できた融資も止まってしまい、プロジェクトは凍結。しまいには、2.8億ドルを横領した、汚職に使った疑いで、プロジェクトに関わった人を全員容疑者扱い、拘留所にまで入れられる羽目に。長期にわたる取調べで、横領や汚職などの事件性はなく、資金はちゃんと建設に使われたことが証明されたのが先日なのです。

南ゴビの鉄道の盛土

私、個人的な意見としては、モンゴル国内で付加価値を作り出してから輸出するという理想そのものは正しいものの、順調に出来たはずの民間企業プロジェクトを奪ったこと自体問題に見えるのです。政府が約束を守れるのならば、別の話ですが、関係者が増えることで、政治的な妨げをするのならば、民間企業に任せて置く方がよかったのではないのでしょうか?そんな歯痒い気持ちのまま、私は政府と関わる仕事はしない!やるなら民間企業側から出来ることをすると決めたのです。

政府に失望していた私ですが、先日の最高裁判決で、裁判所は公正に判断下してくれていることを確認でき、喜んでいる次第です。

もんじゃ、次回まで♪

今度は、もうちょっと明るい話題が出来ればなあと願うばかりです。