こんにちは、もんにちは。

旧正月中に風邪を引いてしまい、十日間も発熱していたゾリゴです。旧正月の二日前に政府が急遽、休日を9連休に変更してしまったせいで、本来なら三が日が終わったら病院に行けたはずが、病院にも行けずに苦しんでいました。にしても、モンゴルの政府って、なんでこうも計画性がないのかしら。この調子では、何十年も先を見据えた政治や、長期安定投資が必要なプロジェクトファイナンスおろか、目先の計画も立てようもないじゃないか? 数年前に急遽サマータイムを導入したり、そしてそれを排除したりしたのも記憶に新しいことです。

元から計画性のかけらもないモンゴルの行政ですが、それに加えて2018年と2019年はモンゴル政治にとって怒涛の時期となっています。

政治的デモに、エンフボルド元国会議長の除籍、新内閣官房長官や新たな国会議長の抜擢、バトボルド元市長の辞任に、新たな市長選挙の行方、新大臣らの抜擢などなどと、行政関連の仕事している人にとっては頭が痛くなる出来事が相次いでいます。いや、上が変わるのはいいんですよ?不祥事を働いていたり、汚職や横領事件に巻き込まれたり、国民、ましてや経済の中枢ともなる中小企業からお金を盗んだりしていりゃ、そりゃ、辞めてもらうしかないし、辞職のみならず、刑法での責任も取るべきだと思うのです。

ただ、モンゴルの政府や行政の抜本的な問題点。上が変われば全て変わってしまう点なのです。国会の主な責任は立法であり、行政にまで口を挟んで欲しくないですし、内閣はちゃんと法に則って台所の仕事をこなしていればいいものを、国会が内閣の仕事にまで口を挟み、やっと職が手についた中間官僚をも根こそぎ変えたりしてしまうため、内閣の仕事の一貫性がなくなり、全ての物事を一から説明するなどで機会損失を多く出してしまっていると言う現状をどう変えるかがモンゴル行政の一番注視すべき課題かと思うのです。

そんなころころ変わる行政の中で、一貫して行政を強化する政府機関が存在していました。特にここ数年、着実に強化されて来ました。

国税局です。

今月2月15日に国家統計局より、2018年の国内総生産の数値が発表されました。実質GDP成長率は市場予想を上回る6.9%、名目GDP成長率としては15.3%となりました。2018年の石炭の価格が堅調だったことが主要因か?と思われますが、実はそうでもないのです。

鉱業のGDP成長率は5.1%とモンゴル国全体のGDP成長率を下回っている一方、GDP成長率の主な牽引役となったセクターは製造・加工業(15.7%)、ホテル・飲食業(11.6%)、金融及び保険業(12.3%)となっています。

出所:国家統計局。2018年GDP実質成長率

しかし、この中で、一つ気になる項目が。。。
そうなのです。税収が前年比で20%も増えているのです。

サービスや製造等の実質的なGDP成長率が平均的に6.9%しか増えていないのに、税収が20%も増えるなんて、おかしくありませんか?もう一つ若干違和感がある数字は、ホテル・飲食業界の伸び率です。飲食店オーナー等からは「不況だ、客足が遠のいた」との声がよく聞こえて来ており、また飲食関連の不動産の家賃も大分下がって来ている現状とどうも辻褄が合わないのです。

みそは、もちろん、税務局にあります。2016年よりe-barimtという、消費税を記録するシステムを導入し、抽選で宝くじ的に国民に賞金が当たるようにインセンティブをつけ、また全ての小売店・飲食店にe-barimtを発行するように義務つけた結果、今まで闇市場として成り立っていた小さな商店や飲食店が税金を払うことになり、また消費税から法人税を推定出来てしまうようになったため、税収が大幅に増加したのです。2月にもなると、多くの中小企業が年末決算と確定申告に追われ、遅滞や未納は多額の罰金を課されるのです。4-5年営業をした日本の企業も、従来どおりの申告をしていたら、多額の罰金を払わされたという相談にも来ているくらい、税務局は厳しいのです。

ただし、気をつけないといけないのは、国税専門官が自らの解釈で税金を課してしまうことが多発することです。以前、鉄道プロジェクトに関わっている時に、源泉徴収税の計算の仕方で国税局と長きに渉る喧嘩をしたのが記憶に新しいです。国税専門官が税金の計算の仕方をはっきりと説明してくれず、その計算の仕方だけで1億円以上の差額が出てしまっていたため、税務コンサルタントや法務コンサルタントをも交えて、大喧嘩したことがあります。

1億円とかじゃなくても、実際に、中小企業(年商5000万トグログ未満)は消費税の課税免除を受ける趣旨が税法にあるにも関わらず、全ての売店等に消費税を納税するように促したり、また税金控除項目を控除されないと念押しし、過剰徴収したりと言ったことも多発しているように見受けられます。なにも、国税専門官は、徴収した税収に応じてインセンティブをもらうと言った制度的なゆがみが存在するため、彼らとしては国民の無知を利用して多く税金徴収するインセンティブが働くためです。なので、モンゴルでビジネスをはじめる場合は、税務関係をよく研究することをお勧めします。

ま、そんなこんなで、今回の経済成長の裏には「闇市場が表に出て来た効果」ことも大きいのではないかと私は推測しています。闇に隠されていたものが表になることは良いことですし、国民がちゃんと税金を払うようになったのも良いことです。ただし、前にただ記録に残っていなかったものが数字上に現れたからと言って必ずしもそれは経済発展を表しているとも言えないのではないでしょうか?もし、アップル・ツー・アップルで比較したら、もう少し謙虚な数字になるのかも知れません。

それでも、2016年の低迷から見事にV字回復したことには変わりありません。トランプ政権のアメリカにしても、モンゴルにしても、政府・行政機能が麻痺した中で堅調な経済成長を続けると言った面白い現象が起きているのも興味深いです。

実際に、政府って、足かせになるだけで必要ないんじゃないの?というアナーキー的に思想も脳裏に浮かぶのは何故でしょうか?(笑

もんじゃ、次回までに。