こんにちは、もんにちは。

お目汚しのゾリゴです。今日はちょっと時事ネタと、モンゴルの税制度に関する簡易的な説明をしたいと思います。

先日、欧州連合より、税制度において「非協力的」な国17カ国を発表しましたが、モンゴルがその中に入っていました。

非協力的な国は、以下のとおりとなっています。

アメリカンサモア、バーレイン、バルバドス、グレナーダ、グアム、韓国、マカオ、マーシャル諸島、モンゴル、ナミビア、パラウ、パナマ、セイント・ルシア、サモア、チュニジア、トリニダード・トバゴおよびアラブ首長国連邦がそれらの17カ国となっています。

主にタックスヘイブンがリストアップされている中、なぜモンゴルが?と話題になっています。

というのも、モンゴルの政治家でオフショアの口座に汚職で儲けたお金を隠している人を探し出せという運動が行われており、「オフショア」と関係すると叩かれているのです。

政治家が汚職で儲けたお金を隠し持つことはもちろん悪事ですし、問題ではありますが、ことの範囲が広まり、知識ない人は、普通のビジネス目的でシンガポール等の国外で会社を設立しているビジネスマンをまでを叩くという事態に。。。

そんな中、モンゴルがそれらの「オフショア」の仲間に入ってしまうとは、大事です。大統領が死刑を復活させようとしたからこういうことになったと叫ぶ政治家や、ものの詳細を理解せずに騒ぐ皆様。。

では、なぜモンゴルはこのブラックリストに載ることになったのでしょうか?

主な理由は、まず、モンゴルが「税の透明性及び税務目的の情報交換に関するグローバルフォーラム」に参加していないこと、そして税源浸食と利益移転に関する最低水準を適用していないことが主な理由となっています。

こう見ますと、モンゴルって、脱税しやすい国なんじゃないかという憶測が立ちますよね。

確かに、税制度に関しては、十分な情報は得られにくいし、脱税を行う企業も多いのは事実です。

しかし、意図的に税金を低下させるストラクチャーを持ついわゆるタックスヘイブンとは大きく異なるのも事実です。

タックスヘイブンは、ペーパーカンパニーを作り、効率的に資本調達するためのものともなっていますが、モンゴルは単に情報が少ないことと、各種フォーラムに参加してないだけなのです。最も、4ヶ月ほど前に、これらのフォーラム等に参加を財務省が検討している旨を大統領に表明しており、来年度にも入るのでしょう。

税制度の透明性が欠けていることは、逆に「脱税」の罪を犯したとして問われるリスクも孕んでいるため、厄介な問題となっています。

一応、税制度をよりよくしようという動きが著しく、2016年から消費税のIT環境を大きく改善させたことから、透明性も高まりました。

一方で、脱税の罪で有罪判決となった「ジャスティン・カプラー事件」も目新しい。

僕、個人的に、この事件はどうもきな臭い気もしますがね。というのは、まず、脱税をしたといわれている会社を裁くのではなく、そこで働いていた会計士にすべての責任を負わせたこと、そして、彼の証言である「一鉱山会社が一国の国内総生産に匹敵する金額の脱税は出来ると思いますか?」という問いと、最後に、彼を前大統領が許してしまったことなどから、単に政治的な理由で犠牲になったのではないかと疑っているのです。

ま、それは置いておいて、モンゴルの税制度に関する情報は確かに入手しづらいです。以前、鉄道プロジェクトをやっていた時に入札した日本の企業は、海外企業に課される「源泉徴収税」の存在を知らなかったために、入札予算を30%も削減する羽目になったことから、税務アドバイス等は特に海外からの企業には必然だと痛感しました。

ましてや、モンゴル国は政治もそうですが、税制を含む規制を前置きなく変えてしまうという悪い癖を持っています。たとえば、2014年にオランダとのに二国間租税条約をいきなり変えてしまったことが、海外直接投資(FDI)を大きく減らす効果となってしまい、昨今のモンゴル経済危機を招いてしまったのです。

と前置きはおいておいて、モンゴルの法人税について簡単に説明したいと思います。

モンゴルでは1992年に社会主義から民主主義への以降に際して、市場経済に沿った新しい租税制度を導入しました。租税法の第7条には全税目が定義されており、国税(法人所得税、付加価値税、関税)と地方税(個人所得税、不動産税、土地料)と大別され、直接税(法人所得税、個人所得税)と間接税(付加価値税、関税、特別税)と分類されています。

付加価値税(日本で言う消費税)に関しては、2015年に改正され、課税対象年間売上高の最低額が以前の1千万トグログから5千万トグログに引き上げられた一方、個人に税額の2%を還元する制度を導入し、消費者からの働きかけで透明性を強化しました。

今回は法人税だけに言及したいと思いますが、法人税は以下のとおりとなっています。

  • 30億MNT(約1.5億円)までの年間課税所得には10%の関税
  • 30億MNTを超える年間所得税は25%

配当金所得は10%、ロイヤリティ所得は10%、不動産譲渡所得は10%、利子所得は10%、非居住者源泉徴収税は20%、ギャンブル・宝くじからの所得は40%となっています。日本の法人税が40%と比較すると軽いですが、付加価値税の10%と、そこから免税されないものが多いことを総合的に見ますと、必ずしも税金が軽い国ともいえないかも知れません。

また、法人が源泉徴収する個人の所得税に関しては、今までは一律に10%でしたが、2018年よりは段階的に上がっていく制度が導入されることになりました。

具体的には以下のとおりです:

  • 月150万トグログまでの給与(約7万円)に関しては、今までの10%が適用
  • 150万超~250万未満トグログ(7万円超、10.2万トグログ未満)部分に関しては15%
  • 250万超~350万未満トグログ部分(10.2万円超、16万円未満)部分に関しては20%
  • 350万トグログを超える部分に関しては25%

一番打撃を受けるのは鉱業部門で働く方々となるわけです。
まあ、日本の年間1800万円以上の所得に課される所得税が50%にも上るのと比べるとちょろいものですが。。。少しずつ少しずつ制度が複雑化されて行くのですね。

なお、二カ国間租税条約に関しては、24カ国と条約を結んでいますが、その中には日本は入っていません。モンゴルで企業し、関税を軽減させることを考えるならば、シンガポールや韓国と言ったタックス・ヘイブンを活用するか、条約が結ばれるのを待つのが最も効率的かも知れませんね。

おっと、うかつにオフショアを啓蒙してしまいました。悪い人だ、私。

それでは、今回は軽く税金の話をしました。

もんじゃ、次回まで