こんにちは、もんにちは。
目汚しのゾリりんです♪

みんな忘年会に没頭してしまい、目新しいニュースが少ないこの時期に少し一般的な話を書きたいと思います。

モンゴルの銀行の預金年率は非常に高いのは知っていますか?
米ドルで預金しても年率8%、現地通貨のトグログですと、年率13-4%はざらにあります。数年前は年率18%とかだったから、マイナス金利の日本から見たら目から鱗出るレベルです。

実は、モンゴルは、世界でも預金年率は5位に入る高い水準なのであります。2016年末時点での順位は以下のとおりです:

1.  アルゼンチン 24.3% 
2. ベネズエラ 15.1% 
3. マダガスカル 15.0%
4. トルコ 14.6% 
5. モンゴル 13.3%
6. ウガンダ 13.2 %
7. イラン  12.8% 
8. ブラジル 12.4%
9. アルメニア 11.6% 
10. マラウィ 11.6%

と上位10位となっています。

ちなみに、資源大国であり、G20では中国についで最も高い成長率を誇るインドネシアは28位の7.2%、ロシアは37位の7.0%、ベトナムは47位の5.0%、一時期日本人に最も魅力的な貯金先と考えられていたニュー・ジーランドは61位の3.2%(当時は4-5%程度でしたが)、同じく魅力的な貯金先と考えられたオーストラリアは83位の2.1%、日本の隣国の韓国は1.6%となっている一方で、日本は0.3%、シンガポールは0.2%となっています。

これでも、だいぶ下がって来たものであります。

もちろん、貯金するかどうかは、為替リスクやら色々考えてやらないといけないのもミソ。2013年までに比較的安定した為替でしたが、2013年以降いきなりボラティリティが増え、4年間でモンゴルトグログは1.8倍にも暴落しました(当時、世界最大の投資銀行等が予想ができなかった為替水準までに落ちたことをここで書くべきと思います。2011年の段階で、トグログはむしろ高騰すると見られていました。約30%もトグトグ高となると予想されていたのです)ことも念頭において、投資を進めるべきだと考えます。
個人的には、IMFの介入によって、トグログの為替リスクは一時的に低下しているから、今は投資や、貯金の良い時期かも知れません。

預金者がお金を預ける話と別に、銀行業の利益そのものも健闘しており、その昔、世界恐慌が起こった2009年頃には旅行会社のHISの親玉である澤田ホールディングスがの収益の75%、利益の75%をモンゴルで保有する銀行であるハーン銀行が稼いでいました。今は、澤田ホールディングスの国内ビジネスや他のビジネスも堅調であることから、この割合はさすがに下がりましたが、それでも利益の稼ぎ頭なのは変わりありません。

そんな中、モンゴル国家議会は、中央銀行や決済に関する法律を改善しようとしています。2009年の経済危機や、2016年の経済危機を経て、決済システムに関連する法律が未熟であったことが主な要因の一つとなったことが指摘されたためであります。

また、国内の企業等から貸出金利の高さ(現在19%超、つまり、日本で言う消費者金融の金利よりも高い)が指摘され続けてきたことが主な理由となっています。

モンゴルの預金率が高いのにいくつかの理由がありますが(モンゴル国の格付けが低いことが、海外市場からの資金調達が困難となる理由となっており、また利率も高くなる原因となっていること、インフレ率が下がったものの、以前8%前後と高いこと、トグログのボラティリティが高く、2016年だけで30%も下落したことなど)、一番大きな理由は、預貯金がある個人は少なく、銀行業の主な資金源であり、コストともなる預金を獲得するための競争が激しいことから、預金率は高止まりしているのです。

IMFの指導下で、銀行資産の質を検査するアセット・クオリティ・レビュー(AQR)がモンゴルで始めて行われており、近々その結果が出ることになっています。
とにもかくにも、より深い段階で銀行業を採点することになっており、また、銀行法や決済に関連する各種法律がより複雑になることが予想されます。

まずは、2018年1月1日から電子通貨に関する規制が適用されることになりました。相変わらず、規制案に関するパブリックオピニオンを提供できる期間が異常に短い(30日)なのは気になるところですが、とりあえず、電子通貨の導入や、電子通貨を介した決済に関する規制ができることは良いことですね。

電子通貨を導入するに当たって、銀行やノンバンクと同じように特許を取得する必要があり、また資本金10億トグログ(約5000万円)が必要となる予定となっています。また、銀行の資本金の最低金額についても、2021年より引上げられ、1000億トグログ(約5億円)となることが決定されています。この決定は、上記のIMFによる銀行資産の質に関するアセット・クオリティ・レビューとは独立した決定となっております。狙いは、そうですね。あまりにも多くの銀行が預金獲得競争を行っているため、預金率は高止まりしていることを回避すべく、競争を下げることが主な目的でしょう。

中央銀行の方針も変わって来ています。

以前は、インフレ率の安定性と、為替レートの安定性を両方重視して来ていましたが、今後は為替レートの安定性の重要性を一先ず重要性を下げ、インフレ率等価格の安定性を最も重視することになるそうです。というのも、2016年の金融危機の一つの引き金となったのは、対ドル為替レートを安定させるための政策として、中国等の国とスワップ協定を結び、実を生まない借金をいっぱい作ってしまったことから、実態のない為替操作が行われ、その結果として危機レベルでトグログ安となったことが主な原因と挙げられるためです。為替の行方は市場の原理に任せつつ、マイルドに操作しながら、主なターゲットを物価等の安定性とすることに切り替えたわけです。もちろん、物価の安定性を維持するにも、為替には少なからず梃入れする必要もありますが、よりピンポイントでの政策が行われやすくなることが重要な方針変更といえましょう。

こっちとら、ハイ・ボラティリティが故に貯金してお金儲けができた制度が徐々に規制されていくのは心惜しいものはありますが、仕方ありませんね。

これで、モンゴルの経済全体がよくなればなお良いことですから。

というので、モンゴルで貯金をすることを検討しているならば、第一に為替リスクを考慮して、どの為替にするかをちゃんと検討すること、第二に、それでも資金不足で、成長市場であるモンゴルですから、ちょっとでも良い思いをできるかも知れませんという無責任な助言を残し、今回のコラムを終わらしたいと思います。

もんじゃ、次回までに♪