国会議員ガントルガが性的暴行の疑いで辞表を提出したのが2018年の6月14日。国会はそれから約1年にわたって75議席のままになっていた。その後、補欠選挙の予定日は6月30日と発表された。次の国会総選挙まで後1年。ヘンティー県で実施される補欠選挙が来年の総選挙の結果を占うと言われる中、5月27日の今日「ツェツ」憲法裁判所が選挙日の予定発表が憲法に違反しているという決断を下した。投票日より180日前に発表しなければならないものを148日に確定したというのである。国会がその判決を受諾すれば6月30日の実施は取り消される。受諾しなければ憲法裁判所がその最高審議会にて改めて審議し、その判決の結果によって補欠選挙が実施されるかどうか決まりそうだ。法的には148日という期限が根拠となっているが、ツェツがこの日数を積極的に使ったには政治的な背景があるように思われる。

フレルスフ首相は、野党出身の大統領のサポートを得ることによってほぼ半々に分かれた与党内対立を克服してきた。憲法改正で大統領の権力を削る可能性も指摘される中、その2人の利害関係の衝突が不可欠ともされていた。今回の憲法裁判所の判決は、まさにその衝突の表面化とみなすこともできる。憲法裁判所は裁判員9名からなり、その3名は国会、3名は大統領、3名は最高裁判所が任命する。一見、権力バランスが取れているように見えるが、最高裁判所自体はその最高官が大統領の指名を受けて任命されるようになっているというからくりだ。体制がこのようになっている上に、今回の判決のきっかけとなったクレームは、大統領派のブロガー、ガンフヤグが提出したものである。ガンフヤグは、大統領の人権アドバイザー元議員ウヤンガの‘先生’として知られている人物である。

大統領バトトルガや野党党首エルデネ等は、政権をとってから知名度を上げ、いまや大統領を抜いてトップを占めるようになったフレルスフ首相が議席を勝ち取ることによって与党内における地位を固め、それが憲法改正に至るリスクを懸念している可能性がある。野党にとっては、補欠選挙で負ければ党首が責任をとらなければならない。

このような動向を背景に、投資家の皆さんやビジネス界が注意しなければいけない点は、フレルスフ内閣のサポート役だった野党が与党内対立によって政権を失った‘32の派‘と組みなおすことによる、不信任議決案が改めて提出される可能性だ。

以上、この先どうなるかまだ分からないが、不安定な体制の下がんばっている皆さんのご参考になれば幸いです。